滞在記 第2日目
(2004年9月19日)


7時に起床してワシントン記念塔へ。古代エジプトのオベリスクのような塔の 高さは555フィート(約167m)、頂上には展望台がある。ワシントンには、 連邦議会議事堂(約40m)よりも高い建物を建ててはいけないという法律がある (らしい)ので、展望台からは市内が一望できる。エレベーターで頂上まで 登ることができるが、整理券が必要。それをゲットするために、わざわざ 早起きして来たのだ! 整理券は塔の東側にあるチケットブースで入手可(無料)。 配布開始時間は、レイバーデイから3月末までが8時から、4月から レイバーデイまでは7時30分から。
しか〜し! 何と工事中のため、2005年の春まで閉鎖!! 眠いのを 我慢して早起きしてきたのに超ガッカリ・・・。
午前中はワシントン記念塔の西側地区を見学する予定だ。 まずはタイダルベイスンへ。モール側から湖を隔てた反対側に建つのがトーマス・ ジェファーソン記念館。その近くには、ジョージ・ワシントンの逸話で有名な、 あの桜並木がある。
次にやってきたのが第二次世界大戦戦没者慰霊碑。ここは今年完成したばかりで、 まだ最新のガイドブックにも掲載されていない。
入口から噴水へと向かう塀の両側には、戦争の様子や兵士の姿などの彫刻が 施されている。
噴水を挟んで、大西洋(対独戦)と太平洋(対日戦)を表している。
両側にはそれぞれ勝利と平和の像があり、その前の池には米軍の侵攻経路と、勝敗を分けた 戦いに対する当時の大統領や司令官の演説の一節が刻まれている。
「アメリカの自画自賛的施設」というのが、すべてを見終えての正直な感想。
続いてやってきたのが朝鮮戦争戦没者慰霊碑。御影石の壁にはアメリカ兵と、 アメリカと共に戦った韓国軍の兵士や住民の姿が彫られている。
兵士の像がとてもリアル!
続いてリンカーン記念館へ。今もアメリカ人に絶大な人気を誇る第16代大統領 エイブラハム・リンカーンを記念して、1922年に建立された。 外観はギリシャ神殿風。建物を支える36本の円柱は、リンカーンが暗殺された 当時のアメリカの州の数と同じ。
内部にはリンカーンの座像がある。高さ5.8m。もし立ち上がれば 身長8.5mになるそうだ。
視線の先は、ワシントン記念塔と合衆国議事堂。
座像の北側の内壁には再選された際の就任演説、南側の内壁には、あの有名な ゲティスバーグの演説が刻まれている。誰もが知っている「人民の人民による 人民のための政治」の一文を見つけた時は、改めてリンカーンの偉大さを感じる。
「私には夢がある! いつかジョージアの赤土の丘の上で、かつての奴隷の子孫と奴隷主の 子孫が・・・」。1963年8月28日、この「I Have a Dream!」から始まる有名な演説を 行ったマーチン・ルーサー・キング牧師が立っていたのがここ。1963年は、 リンカーンによる奴隷解放宣言からちょうど100年目。
リンカーン記念館を背に演説。モールは20万人以上の聴衆で埋めつくされた。
続いてベトナム戦争戦没者慰霊碑へ。ベトナムからの段階的撤兵を 決めたJFKが1963年に暗殺され、後を継いだLBJは、それとは反対の 政策を実行。1965年の北ベトナムへの爆撃(北爆)を皮切りに泥沼の 地上戦へと突入。75年に完全撤退するまで、55000人以上の 死者・行方不明者を出した。写真はハート作「3人の兵士の像」。
長さ151mの御影石には、犠牲者全員の名前が年代別に刻まれている。 目的の人物の名前を探し出すのが大変そうだ。年間250万人以上が訪れる。
おっと、こんな所にアインシュタイン博士の像が。場所はリンカーン記念館の北側、 国立科学アカデミーの前。写真では分かりにくいが、座像の高さは3m以上!
続いてホロコースト博物館へ。観光シーズンは整理券が出るほど混雑するらしいが、 今回は待ち時間もなく入場することが出来た。
参考までに、入場整理券が必要なのは 常設展示スペースとなっている2階から4階までの3フロア。 基本的に11歳以下の入場は不可。入場時に、かな〜り厳しい手荷物検査がある。
入場すると、まずIDカードを渡され、ガス室を模したエレベータに乗って4階へ。 見学コースが4階から下の階へ下りていく形式になっているからだ。
これがIDカードの中身。実際にナチによって殺されたり収容所へ送られた 人の写真と、その人がどのような運命を辿ったかが書かれている。 自分がその人になったつもりで見学して欲しいという意図だろう。
展示物や写真にはかなりショッキングな物もあるが、以前行ったポーランドの アウシュビッツやマイダネクで見た物の方がもっともっと凄かった。
館内の写真・ビデオ撮影は一切禁止されている。
写真は博物館の外側壁。電灯の形が、アウシュビッツ収容所に 取り付けられていた物と同形。
その後、国立航空宇宙博物館へ。今日は見学ではなく、Steven F.Udvar-Hazy Centerまでの シャトルバス・チケットを買うのが目的。航空宇宙博物館を 出発する時間と、Steven F.Udvar-Hazy Centerを出発する時間を指定してチケットを 購入する仕組み。料金は時間によって多少異なるが、 最高往復で$7。1階チケット・ブースで購入可。
続いて地下鉄で向かったのがアーリントン墓地。ここにはJFKとジャクリーン夫人、 弟のRFK、第27代大統領W・タフトをはじめ、スペースシャトル・チャレンジャーと コロンビアの事故で死亡した宇宙飛行士などが眠る。今回は墓地内を走る ツアーモービルに乗車。JFKの墓、シアター、アーリントンハウスに停車。 所要時間は、見学時間を含めると約1時間30分、料金は$6。 短時間に効率よく見学できる。
左)JFKとジャクリーンの墓。JFKの墓は1967年から一般公開された。 ジャクリーンが埋葬されたのは1994年。
右)永遠の炎。
墓石はJFKの故郷マサチューセッツ州ケープコッドから採石された。
JFKの墓から見上げたアーリントンハウス。
とっても質素なRFKの墓。
シアターの前に並ぶ3つの慰霊碑。
左:スペースシャトル・チャレンジャーの爆発事故で死亡した飛行士の慰霊碑。
中:1980年に在イラン・アメリカ大使館占拠事件で、人質を救出する際に 死亡した特殊部隊兵士の慰霊碑。
右:スペースシャトル・コロンビアの墜落事故で死亡した飛行士の慰霊碑。
スペースシャトル・チャレンジャーの爆発事故で死亡した飛行士の慰霊碑。
1980年に在イラン・アメリカ大使館占拠事件で、人質を救出する際に 死亡した特殊部隊兵士の慰霊碑。
スペースシャトル・コロンビアの墜落事故で死亡した飛行士の慰霊碑。
アーリントンハウスは、ちょうどJFKの墓の真上に位置し、アーリントン墓地の中で 最も高い丘の上に建てられている。元々は南北戦争の英雄ロバート・リー将軍の邸宅で、 初代大統領ジョージ・ワシントンとも多少の縁がある。
写真は丘の上から見下ろしたJFKの墓。邸宅内も見学可能。また丘の上からは、 ワシントン市内を一望できる。
左:合衆国議事堂。
右:ペンタゴン。こんな低い建物に大型旅客機が突っ込んだなんて信じられない。
丘の上から見たワシントン市内の合成写真。
その後、地下鉄で「Foggy Bottom」駅へ移動。
このビルに見覚えのある人は殆どいないと思うが、 その名を知らない人はいないだろう。1972年6月、このビルの中にあった 民主党本部に盗聴器を仕掛けた5人が逮捕されたことをきっかけに、 時の大統領リチャード・ニクソンが辞任に追い込まれた「ウォーターゲート事件」の 舞台となったのが、この「ウォーターゲート・ビル」だ。
場所は「Foggy Bottom」駅から南西へ徒歩5分。
ホテルやオフィス、ショッピングモールに住居などが混在しているため、正確には 「ウォーターゲート・コンプレックス」と呼ばれている。
続いてやってきたのがジョージタウン。大学の町としても有名だが、Mストリートの 両側には洒落たレストランやアンティークショップなどが立ち並ぶ。ワシントンの 表参道といったところ。
さて、右の写真に見覚えのある人はいるかな? この写真を見ただけで「ん? ここは」と 思った人は、かなりの映画通。
ではもう1枚。
1973年製作、全世界にオカルトブームを巻き起こした映画「エクソシスト」の ラストシーンが撮影されたのがこの階段。少女リーガンに取り付いた悪魔を、自らに 乗り移らせたカラス神父が転げ落ちて命を落とすラストシーンは衝撃的だった。場所は フランシス・スコット・キー・メモリアル橋の近く。
今旅行の「夜のメインイベント」である名門ジャズハウス「ブルース・アレイ」へ。 サックスの名手、ブランフォード・マルサリスの公演チケットを入手したことは 「準備編」に書いた通り。
ステージは約1時間。演奏は最高にクール! これで$32は安かった!! 店内は 立ち見が出るほどの大盛況。但し、料理は値段のわりにイマイチ。
左:私が座った席から見たステージ。マルサリスまでの距離は、およそ3mだった。(笑)
右:外観はレンガ造りの倉庫のような感じ。
ブルース・アレイから歩いてリンカーン記念館へ。夜のリンカーン記念館は、 昼とは違い神々しさを感じる。以前は建物の裏手に回ると、アーリントン墓地のJFKの 墓に灯されている「永遠の炎」が微かに見えたそうだが、残念ながら現在は裏に 回り込むルートが閉鎖されている。
リンカーン記念館へは、地下鉄「Foggy Bottom」駅から徒歩15分。夜に行く場合、 「Constitution Ave.」からリンカーン記念館までの間は、街灯一つない真っ暗な道を 歩かなければならないので要注意。
夜に見るリンカーン像も一味違う。
後ろから見るとこんな感じ。

ホテルに帰り着いたのは0時近く。今日はおそらく10kmは歩いたと思う。 もちろん普段これだけの距離を歩くことはないので、もうクタクタって感じだった。 風呂に入って速攻で寝る。



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